半数体ES細胞は、遺伝子が1セットのみしかないことから、2倍体と比べ効率よく哺乳類の遺伝子をノックアウトでき表現型の研究に役に立つ。一方最近CRISPRという効率がよく簡便なゲノム編集システムが開発された。このシステムではガイドRNA(gRNA)という短いRNAと相補的なゲノムDNAをCas9というDNA切断酵素が切断することにより高効率にノックアウト細胞を作製できる。今回、CRISPRを用いて半数体ES細胞のノックアウトをおこなった。Tet1, Tet2, Tet3という3つのファミリー遺伝子のノックアウトを試みたところ50%の高率ですべてがノックアウトされた細胞を得ることができた。この効率は2倍体ES細胞を用いたのと比較して非常に高い。またこの系を用いて高率に染色体の大規模な欠失や逆位を作製することもできたこのようにCRISPRを半数体ES細胞と組み合わせることにより哺乳類のゲノム編集の効率よいツールとなることがわかった。