CRISPR法を使ったICF症候群モデルiPS細胞の作製の論文が公開されました。

CRISPR法を使った高効率のICF症候群モデルiPS細胞の作製

ヒトiPS細胞の遺伝子編集は再生医療研究の強力なツールとなる。しかしながらヒトiPS細胞のゲノム編集は非常に難しいことがしられていた。最近、CRISPRという効率がよく簡便なゲノム編集システムが開発された。このシステムではガイドRNAという短いRNAと相補的なゲノムDNAをCas9というDNA切断酵素が切断することにより高効率にノックアウト細胞を作製することができる。今回我々は、CRISPRシステムを用いてICF症候群のモデルiPS細胞を作製した。ICF症候群は,種々の血清免疫グロブリンの低値に伴う易感染性,軽度の顔貌異常(高い額,内眼角解離,内眼角贅皮,低く幅広い鼻,耳介低位,巨舌,小顎),染色体異常(1番,9番,16番染色体ヘテロクロマチン領域の伸長;分枝染色体)を主徴とする非常にまれな常染色体劣性遺伝病である。DNMT3Bが原因遺伝子の1つであるが、今回DNMT3Bの遺伝子破壊をCRISPR法でおこない、63%の細胞でこの遺伝子をホモに破壊することができICF症候群モデルiPS細胞を作製することができた。この結果はヒトiPS細胞においてCRISPR法が効率的に遺伝子編集をおこなえることを示しており、今後モデルiPS細胞の作製や遺伝子改変治療に役立つであろう。

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