演題:ゲノム・インプリンティングとヒト疾患—間葉性異形成胎盤の分子遺伝学的解析
講師:副島 英伸 先生 佐賀大学医学部分子生命科学講座 分子遺伝学・エピジェネティクス分野 教授
日時:2013年9月20日(金)17:00~18:00 *日時が変更されております。
場所:生体調節研究所1階会議室
講演要旨
ゲノム・インプリンティングは、一対の対立遺伝子のうち一方の親由来の遺伝子のみが発現する現象で、インプリント遺伝子の制御異常は各種のインプリンティング疾患や腫瘍を引き起こす。我々の研究室では、代表的なインプリンティング疾患であるベックウィズ・ビーデマン症候群(BWS)の解析を行っているが、最近BWSとの関連性が示されている間葉性異形成胎盤(PMD)について原因遺伝子探索を始めた。PMDは、部分胞状奇胎と類似した嚢胞状変化を呈する胎盤形態異常で、高率に早産、胎児発育不全、胎児死亡を合併する。約20%にBWSを合併することから、BWSの責任座位である11p15領域のインプリンティング異常の関与が示唆されている。PMDの頻度は分娩例の0.02%と稀ではあるが、独自に収集した22例について分子遺伝学的解析を行ったところ、多くの症例がandrogenetic/biparental mosaicであること、一部の症例では特定のインプリンティング異常がみられることがわかった。現在、網羅的なゲノム・エピゲノム解析を行っている。PMDの原因遺伝子探索の現状について紹介する。